UAゼンセン10周年記念特設サイト

次の10年に向け、UAゼンセンの役割とは

松浦会長

これからの10年に目を向けると、中期ビジョンで書かれているように人口急変社会、超高齢社会は避けられないわけです。そういう中で、どうやって現役世代の皆さんが、増えていく高齢者の皆さんを支えつつ、育児をしながら働いて十分な生活をしていけるのかが最大のテーマだと思います。

UAゼンセンではいろいろな働き方をしている組合員の皆さんがいらっしゃいますが、その収入だけで十分に生活ができるかというと、やはり「この収入ではなかなか十分な生活とは言えません」という方が多くいらっしゃる。今まさに介護の処遇についてもいろんな議論がされておりますが、やっぱり十分に仕事の価値に見合ったものになっているか、という問題意識は常に持ちながらやっていかなくてはいけない。

松浦会長

働く人たちの人数が減ってくる中で、丁度これに重なるように出てきているのが技術革新です。いわゆる「デジタル化」という言葉を使われたりします。さまざまな人工知能の活用が徐々に職場で進み出している。コロナ禍も相まって、多くの人たちがお店で買い物をするだけでなくて、eコマースも使うようになってきた。技術的な変化と生活態様の変化が起こって、多くの企業の経営者は、この変化にいろんなかたちで対応していく意志をお持ちだと思います。

この社会の変化、人々の暮らし方の変化、技術の変化で産業を取り巻く環境は、これまでの何倍ものスピードで変化をしていくのではないか。おそらくは、5年くらいたつとそれまでと違うやり方になったということが多くの職場で起きると思います。こうした変化に産業別労働組合としてどのように対応していくのか。大変重要な私たちの役割だと思います。

私もコロナ前に海外に出張すると、日本では非常にサービスが手厚いですけれど、海外のスーパーに行くとほぼ自動レジなんですね。人がレジで作業しているのは非常にわずかで、ほとんどのお客様は自動レジで精算をしていく姿も見てきました。日本も徐々に変わってきたように思いますが、こういうことがさらに進んでいくんだろうと思います。

我々としては当然、働いている人の雇用を守ることをしていかなくてはならないのですが、この産業の高度化、いわゆる生産性向上策について反対をする立場ではいけないと思うんですね。効率性が上がりました、生産性が上がりましたという部分をしっかり処遇に結びつけていかなくてはならない。より少ない人たちが働いて、従来と同じ、あるいはそれよりも高い成果が上げられるのであれば、それはきちんと処遇を上げていくことを私たちはやっていかなくてはいけないと思います。

介護の職場も今、やってますけれど、まだまだ全処遇の平均よりは低い状況ですし、介護職の皆さんは、要介護者の皆さんに対しても、ご家族の皆さんに対しても本当に価値の高い仕事をしておられると思うんですけれど、まだまだその処遇になっていない。これから先、例えばスーパーマーケットのような業種ではパートタイマー需要がだんだん減ってくると思います。

仕事も高度化して、新しい技術システムを入れていくことで、当然必要な方はいらっしゃるんですけども、今までの様な規模のパートタイマーの人員は必要ではなくなる。そういった方たちが何らかの形で社会に貢献したい、仕事をして収入を得たいというときに介護の世界に入ってきて頂く方が増えていくと、うまくバランスが取れるのではないかと私は思っています。

松浦会長

そのためには介護の中でも、いわゆる重労働、負荷の高い仕事は機械化する介護の高度化も進めていく。より多くの人が「介護の現場で働くのは大変そうだ」というところは解消していって、仕事に見合った賃金がしっかり得られる。そんな状態を作ってトータルバランスがとれた社会になっていくんじゃないか。そんな仕事をやっていけたらと思います。

急激な変化の中で、我々労働組合としてソフトランディングということも現実問題としては図っていかなくてはいけない。変化を止める、変化に反対するということではなくて、変化をいかに労働者、働く皆さんにとってよい変化にするか。その姿勢が大事だろうと思っております。

高齢化、いわゆる現役世代の人口減少。まずは今、生まれた人が20年後には二十歳になるわけですが、もう20年先の二十歳の人数はこれ以上増えないことが決まっている。今のところ2035年あたりが1つのピークだと思います。ここに向けて、良いバランスのとれた、そして働いている人たちが十分に仕事の価値に見合った生活ができる、そういう社会を作っていくためにUAゼンセンの多くの職場が関係している。ぜひがんばっていきたいと思いますね。