松浦会長
産別(組合)が統合した1つの大きな成果は、組織拡大が進んだことです。結成当時は141万人だった組合員が、現在では186万人を超える組織になりました。これほどの組織拡大が進んだ産別は、日本でもUAゼンセンくらいです。やはり2つの組織で別々にやるよりも、1つにかたまって組織拡大を進めてきたことが大きかった。
スーパーマーケットではおよそ60組織。ドラッグストアの関係は約30、外食関係でも30の新しい組合を作ることができました。こうした形で企業内に集団的労使関係を作っていく。産業別組織の大きな役割として、組織統合して大きく前進できたと思います。
八野副会長
流通産業が産別として1つの塊になる。これは20年前から課題でした。この10年間どうなったかというと、私から言うとおこがましいのですが、流通部門の人たちが1つの塊になって、さまざまな運動をしてくれました。その中の1つとして、「カスタマーハラスメント問題、悪質クレーム問題」を取り上げてくれました。これは「サービスを受ける側と提供する側がともに尊重できる社会を作っていく」ことが運動の始まりです。
八野副会長
実態がどうなのかとアンケートを取って、調査結果が作られました。そのうち2万人もの人が自由記入欄に何かしらのコメントを書いてくれました。そのことが社会問題となって、大きなうねりとなってきています。
特にここ数年で言えば、厚生労働省がカスタマーハラスメント対策の企業マニュアルを作ってくれたことは非常に大きな成果だと思います。総合サービス部門と一緒になって運動を進め、他の産別の人たちと一緒になって運動を進める大きなうねりになってきたのです。今後は、さらにこれを法制化に結びつけていくことが非常に重要なことだと思っています。
坂田副会長
実際、サービス産業の現場でも、カスタマーハラスメントが問題になっていました。もともと流通部門が先行して取り組みを進めていたところに、途中から総合サービス部門も一緒に活動させて頂きました。外食産業の例でいえば、コロナ禍で宅配が増えたところ、約30分でお届けできる場所なのに、宅配担当が1時間経っても帰ってこない、電話も出ない。やっと連絡が取れたら「遅れてしまったのでお客様にお叱りを頂いていて…」といったことが発生しているのが実際の現場状況です。だからこそ、流通部門とともに改善に向け取り組んでいけたらと思っています。
八野副会長
2番目が「労働協約の地域的拡張適用」ができたことです。家電量販店業種が中心になりながら、政策局や顧問弁護士、さまざまな人たちが連携しながらやってきた。これは労働運動の歴史の中でも1つのページを開いたことになりますし、その成果がそこで働いている人たちに結びついてくれればとても大きいことです。こういう運動の積み重ねが非常に重要なんだと思います。
松浦会長
産業別組織の役割は、1つは産業の健全な発展。そして、働く人たちの職場環境や労働条件を改善していく。この2つの両輪を回していくのが重要な役割だと思います。この間に、UAゼンセンでは自由な産業政策、これを確認して実現に取り組んでいます。カスタマーハラスメントもその中の重要な事項で、非常に多くの産業が共有できることですね。
また、例えば化学関係や医薬品関係、食品製造の皆さんもそうですが、産別がUAゼンセンだけではなく、他産別とも連携もしながら実現の力をより大きくしていく活動が進められています。
UAゼンセンはさらに、社会問題の中で「拉致問題」にも長く取り組んできました。これは組合員や組合員のご家族が実際に拉致被害に遭っていることが1つの発端でした。
スタート時点では署名活動も6万筆くらいだったんですけれど、今は毎年80万を超える署名が集まるようになりました。続けていきながら多くの方に理解して頂くことができたのが、この10年間だったと思います。